加熱式タバコってニコチンのリスクが本当に少ないの?
近年、日本の喫煙者人口は減少の一途を辿っています。
禁煙や分煙が進み、喫煙できる場所も少なくなっています。
ただし、成人男性の喫煙人口は減少していますが、実は成人女性の喫煙人口は横ばいで、諸外国と比べると未だ高い水準であることが指摘されています。
そんな中、新製品が次々と発売されている加熱式タバコ。
燃やすタイプの従来の紙タバコに比べ、臭いや健康への影響が少ないとされる加熱式タバコですが、実際、ニコチンの量はどの程度違うのでしょうか。
まずは、加熱式タバコのメカニズムについてご説明します。
スティック状に圧縮したタバコの葉を加熱することで、たばこ成分を含んだエアロゾルを発生させ、それを吸引します。
エアロゾルは水蒸気ではなく、たばこの粒子と気体の混合物です。
対して電気タバコは、葉を加熱するのではなく、専用カートリッジの液体を水蒸気にして吸引するもので、基本的にニコチンは含まないとされていますが、海外の製品ではニコチンを含むものもあるので注意が必要です。
燃やすわけではないので、
■一酸化炭素などの有害物質の量が少ない
■煙が出ず、周囲への臭いや灰などの汚染が少ない
などのメリットがあるとされています。
ただし、主流煙の中に含まれるニコチンの量は、紙巻のたばこに比べて少ないとは言えません。
さらに副流煙や喫煙者の呼気に含まれるニコチンの量についてはまだあまりよく分かっておらず、これにも注意が必要です。
ここで、ニコチンが体に及ぼす影響について解説していきます。
ニコチンは体に吸収されやすく、吸気から肺に入ると肺の血管から急速時全身に広がります。
歯ぐきや舌などの口の粘膜には、実は毎日微少な傷ができており、その修復のために血管が多く張り巡らされています。
ニコチンには血管収縮作用がある為、この血管の血流量を減少させ、細胞の修復機能を低下させます。
これにより、炎症が起こりやすくなり、細胞が弱くなるため、歯茎の弾力がなくなります。
細胞の遺伝子が傷つくとガン化を誘発することもあり、注意が必要です。
歯を支える歯根膜という部分にも影響があり、ニコチンの影響を受けて剝がれやすくなってしまいます。
更に、ニコチンは顎の骨にも到達し、骨の再生を阻害します。
骨は、常に破壊(骨吸収)と再生(骨形成)を繰り返してリモデリングされているのですが、ニコチンはこのバランスを壊し、破壊に傾けることで、骨を弱くします。
またニコチンは、組織だけでなく、お口の中の細菌叢にも影響します。
口の中には様々な細菌がおり、その中には病原性の低いものと高いものがいます。
そのうち、歯周病を悪化させる病原性の高い細菌が、ニコチンを栄養として活性化してしまうのです。
歯周病菌の中でも特に毒性の高いポルフィロモナス・ジンジバリスは、ニコチンがあると病原性を増します。
また免疫細胞が集まるのを阻害するため、外敵をやっつけようとする免疫細胞が活性化せず、歯周病がさらに悪化するのです。
実はニコチンは、歯周病だけでなくむし歯菌にも影響を与えます。
むし歯菌はニコチンが存在すると酸を多く作れるようになることが知られており、より強固に歯に付着します。
そのため、ニコチンはむし歯も悪化させるのです。
このように、煙やにおいが出ないことから、悪影響も少ないと思われがちな加熱式タバコですが、ニコチンの量は少なくなく、また副流煙などの影響はまだわかっていません。
続々と新製品が発売され、広がってきた加熱式タバコですが、今後さらに特殊な健康被害や影響が明らかにならないとも限りません。
使用については今一度よく考え、吸う場合には通常のたばこと同様に、分煙や禁煙のエリアなどマナーを守りましょう。