早期に発見!知っておきたい反対咬合(受け口)の治療
「うちの子の歯並びは大丈夫でしょうか?」
小児歯科ではむし歯と並んで親御さんの関心の高いのが、歯並びの治療です。
「早く取り組んだ方が良いの?」
「いくらくらいかかるの?」
「期間はどのくらい?」
など矯正治療についてのご質問をいただくことはとても多いく、親御さんの関心の高さを感じます。
歯並びの問題と一口に言っても、いろいろなケースがあり、
■いつどんな治療を始めると
■いつ頃に終わる予定で
■費用はいくらになるか
ということについては、検査をしてみないとご説明ができません。
また、矯正は基本的には私費ですので、保険は利きません。
当院では、矯正についての相談は無料でして頂けるので、ご納得いただいてから安心して始めることができますが、歯並びの問題についてちょっと考えてみましょう。
歯並びの問題には大きく分けて
■叢生(歯がきれいに並ばず、重なって生えてガタガタの歯並びになっている状態)
■上顎前突(出っ歯)
■下顎前突(受け口)
■開咬(上下の前歯が前に出ていて、かみ合っていない状態)
■過蓋咬合(上の歯が下の歯に深くかみ合っていて、下の歯が見えない状態)
■空隙歯列(すきっ歯)
などがあります。
それぞれ、顎の大きさや歯の大きさ、下の顎と上の顎の位置関係などを検査して、必要な治療を考えていきます。
歯並びによっては、永久歯が生えそろってからの治療をしても同じ結果が得られるものもあります。
また、早期治療については肯定的、否定的な論文があり、一概にはどちらがいいとは言えず、個別に診断していくことが必要です。
歯並びの治療の装置をスムーズに管理していくためには、お子さんご本人や親御さんの協力が欠かせませんので、どのくらい治療への意欲があるかということも重要なポイントです。
装置がついてしまうと、歯みがきの難易度が上がりますので、食生活や歯磨き習慣についても改善できないと、むし歯リスクが高くなってしまうのです。
そのため、ご本人やご家族の意欲が高く、歯磨きについてもしっかり継続できないと、最終的に歯並びの治療が終わるころにはむし歯がいっぱい、ということになってしまっては困ります。
このように矯正治療は、検査をしっかりとしてからでないと始められないのですが、親御さんの目からも発見が容易で、早期治療の意義が大きいのが
反対咬合
です。
身体の発達は、部位によって成長の速度が異なります。
基本的に骨は下図の一般型の成長を示しますので、3歳ごろに大きく成長した後、女子では小学校高学年から中学生にかけて、男子では中高生頃の二次性徴期に再度大きく成長します。
ただ、顎の骨は少し特殊で、上顎は脳の発達に影響を受けて少し早めに成長し10歳前後が成長のピークとなります。
対して下顎は一般型にもう少し近い成長をするため、女子は15歳ごろまで、男子は18歳ごろまで成長します。
つまり、上顎が育った後に、下顎はさらに成長することになります。
反対咬合の場合、下顎が上顎の成長を阻害することによって、上顎が本来よりも前方に成長できない上に、下顎は大きく前方に成長してしまい、上顎と下顎の成長度合いの違いがより大きくなってしまう可能性があるのです。
もちろん、遺伝的に骨格性の要因がかなり大きい場合には、早期治療を行っても再度矯正治療が必要となることも多いのですが、上顎成長阻害を防ぎ、下顎の骨成長をある程度コントロールすることで、リスクを最小限にすることができると考えられます。
そのため、反対咬合に関しては、患児の協力が得られるのであれば、早めに治療を開始することを検討することをおススメしています。
歯並びについては、状況に応じて必要な治療や時期は異なりますので、疑問や不安なことがあれば、いつでもご相談下さい。