気になる睡眠中の子どもの歯ぎしり
小児歯科ブログ
こんにちは、プルチーノデンタルクリニックです。
お母さんから「うちの子どもが、寝ている時に歯ぎしりをしているんですけど、どうしたらやめるようになりますか?」や「歯ぎしりのせいで歯が削れている気がするのですが、大丈夫ですか?」と、子どもの歯ぎしりに対して、心配の声を聞くことがあります。うちの子だけがしているのか、放置していいものなのか、不安に思ってお困りのお母さんがいれば是非参考にしてください。
多くの子どもに歯ぎしりはある
夜中に、ゴリゴリ激しい音がしているのでふととなりを見てみると子どもの口から・・・この音の原因は歯ぎしりだったんだと初めて分かるのです。こんな小さな頃から歯ぎしりをしていたら歯がどんどんなくなってしまうのではないかと心配になりますよね。ですが子どもの歯ぎしりは生理的な現象ですので過度の心配は必要ありません。ほとんどの場合は子どもの成長と共になくなっていきます。子どもの顎の関節は、大人と違って動きが大きく歯ぎしりしやすいんです。また乳歯が抜けたり、歯が生えてきたり変化が激しいですからそれらの影響も考えられます。ですから気持ちよさそうに寝ているわが子を起こしてまで歯ぎしりをやめさせそうなんてしなくても大丈夫なのです。
歯ぎしりの原因はストレスと睡眠不足?
どうぞ、子どもの歯ぎしりは気にしないでくださいと説明しましたが、2つ注意してほしいことがあります。それは「ストレス」と「睡眠」です。子どもは生活の活動範囲が大人と比べて狭く、ささいなことと思われる変化でも大きくストレスを受けることがあります。しかし、生活をしていく中で、環境の変化や子どもにとって嫌だと思うことを避け続けることはできません。そのことが子どもの成長を促すこともあるでしょう。毎回、ストレスの原因を敬遠するのではなく、頑張ったときは「嫌なことでもよく頑張ったね」とほめてあげることによって自尊心を育て精神的なサポートをしてみましょう。
今は多種多様の習い事があり、複数の習い事に通う子どもや、毎日塾に通うといったライフスタイルもめずらしくはありません。しかし、毎日習い事に通っている子どもの方が歯ぎしりをしているという研究結果もありますので子どもの様子をみて習い事の日数を決めることも必要かもしれません。
睡眠も歯ぎしりととても関係しています。今、あなたの子どもは1日に何時間寝ていますか?健康のために必要とされる睡眠時間は年齢により異なりますが中学生で8~10時間、小学生で9~11時間、就学時直前ですとなんと10~13時間なんです。他の国と比べると日本は慢性的な睡眠不足の国と言えます。大人はもちろん、子どもも睡眠時間が短いのです。歯ぎしりへの影響は時間だけでなく、睡眠の質も関わってきます。電気がついたままの部屋や、テレビの音が聞こえる環境では、眠りが浅くなり、睡眠の質は低下します。これが深い眠りとされているノンレム睡眠のリズムを狂わせてしまうのです。最近は、就寝前のスマホのブルーライトが睡眠に対して悪影響という報告もあります。もし心当たりのあるお母さんは子どもが寝るための環境を見直してみてください。
削れてしまった乳歯はどうするの?
乳歯は永久歯に比べてやわらかく、歯ぎしりによって削れてしまうこともよくあります。前歯の先端をよくみると以前は丸みを帯びていた形が平らになってしまっているのは歯ぎしりによって歯が削れてしまっているからです。そんなに削れてしまっていたら、冷たいものを口に入れたときにしみてしまいそうですが、痛みを訴えることは多くありません。ですので削れてしまった歯はそのまま経過観察することがほとんどです。もし痛みがある場合はプラスチックの詰め物をしたり、コーティング剤を塗ったり、歯が削れないようにマウスピースを使用することもありますので一度かかりつけの歯医者さんに診てもらうのがいいでしょう。
歯ぎしりは大人だけがするものだと思っていた方は、子どもが歯ぎしりをするのを見てすごく驚かれるそうです。まずは大人も子どもも、規則正しい生活で睡眠をしっかり確保しましょう。ちなみに夜食が習慣化している子どもにも歯ぎしりが多いと言われています。夜中に一生懸命に勉強することも、ほどほどにしないといけないのかもしれません。