スムーズな永久歯の生えかわりに知っておきたいこと
小児歯科ブログ
プルチーノデンタルクリニックです。
子どもがむし歯にならないように予防したり、不幸にも、むし歯になってしまった歯を治療することはとても大事です。しかし、歯の生えかわりに関してはただ生えかわるのを待つものだと思っているかもしれません。確かに現場でも「このままもう少し待ちましょう」とお答えすることも少なくはありません。しかしそうではないケースもあります。もう少し早く相談してくれていたらこれほど悩まなくてすんだかもしれないと感じることもあります。
今回はそんな歯の生えかわりのお話です。
乳歯が生えそろった数年後の6、7歳頃から歯の生えかわりが始まります。下の前歯から生えかわりが始まり、親知らずを除いた永久歯は12,13歳頃に生えそろいます。その途中で歯の生えかわりがうまくいかない原因を紹介します。
1.過剰歯
本来、お口の中の永久歯は28本(親知らずを除く)ですがそれより多く歯が骨の中にできることがあります。頻度は約30人に1人ですので学校の1クラスに1人いてもおかしくない計算になります。通常の永久歯と比べると大きさも小さく未熟な歯ですが、これが永久歯の生える進行方向にあるとうまく大人の歯が生えてこれなくなります。
2.歯牙腫
歯と似た組織が増殖してできる腫瘍です。複数個の歯の芽がかたまりとして骨の中で大きくなっていきます。自覚症状はないですがこれがあるために永久歯が生えてこれなくなることがあります。
3.乳歯の根の部分がスムーズに吸収しない
歯の生えかわりは乳歯の下方から永久歯が近づいてきて今まで乳歯を支えていた根の吸収が進むことで起こります。しかし永久歯が近づいているのにも関わらず根の吸収が進まず何か月も変化がないとこがあります。そんな時は乳歯がぐらぐらしていなくても意図的に抜歯をする必要があるかもしれません。
4.永久歯の進む方向がズレている
永久歯が生えてくる過程で向きを間違えてしまうことがあります。多少のズレであれば問題ないのですが角度が変わって他の歯にひっかかってしまったり、それによりその歯を傷つけてしまうこともあります。例として6歳臼歯が1本だけ出てこなくてレントゲン検査をすると手前の乳歯にひっかかってしまい、うまく生えてこれないことが挙げられます。
5.永久歯の先天性欠損
10人に1人程度にみられる永久歯の数が少ない現象です。前から数えて2番目の側切歯や5番目の第二小臼歯に起きることが多いです。
歯並びをよくするために歯列矯正をすることはいいことですが、生えかわりのタイミングで歯並びが悪くなるのを予防することも必要です。むし歯予防はもちろん、歯の生えかわりとお口の成長を一緒にみていくかかりつけのの歯科医院は重要なパートナーです。早期に発見できていれば、経過観察をしながら必要に応じて処置をしてくれるはずです。また、その経過観察の期間は治療が必要な時の準備期間としてとらえましょう。むし歯がないから大丈夫と思わずに信頼のできるかかりつけの歯科医院を見つけ共にお口の成長をよい方向へ導けるようにしましょう。